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妊婦が逮捕されたらどうなる? 妊娠中や出産時の取り扱いとは

2023年06月20日
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妊婦が逮捕されたらどうなる? 妊娠中や出産時の取り扱いとは

宮崎県は全国でも有数の出生率を誇る県です。15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計した「合計特殊出生率」の数字は令和元(平成31)年の段階で1.73となっており、全国第2位を記録しています。したがって、宮崎県は「妊婦が多い県」だといえるでしょう。

社会には妊婦の方に対して手厚くサポートする体制が整っていますが、もし罪を犯せば、妊婦であっても罪に問われることになります。状況次第では、逮捕されて、身柄拘束を受ける可能性もあるのです。

もし妊娠中に逮捕されてしまうと、「身柄拘束を受けている間に容体が悪くなったらどうなるのか」「出産が迫っているタイミングで逮捕されると留置場で出産することになるのか」など、さまざまな不安を抱くことになるでしょう。本コラムでは、妊婦が逮捕された場合の取り扱いについて、ベリーベスト法律事務所 宮崎オフィスの弁護士が解説します。

1、妊婦が逮捕された場合の取り扱い

「妊婦だから」という理由で、逮捕を免れられるわけではありません。
しかし、収容施設の管理者には、逮捕やその後に続く勾留による身柄拘束を受けている人の健康を維持する責任が課せられています
そのため、妊婦は、適切な医療をはじめとした特別な取り扱いを受けることになるのです。

  1. (1)妊娠中は適切な医療を受けられる

    警察に逮捕されると、警察署内に設置されている留置場に収容されます。
    留置場は、逮捕した容疑者が逃亡や証拠隠滅を図ることを防ぐ目的で身柄を収容する施設です。
    そして、容疑者の健康維持は、警察が責任を持っています。
    そのため、留置前には健康診断が実施されるほか、留置されている間に体調を崩した場合には、警察から嘱託を受けた医師による診察・治療を受けることができるのです。

    妊婦の場合も、他の容疑者と同様に、診療・治療を受けることができます
    ただし、警察医は内科・外科を専門としている医師が選ばれることも多く、産科の医療や検診については十分な対応が得られません。
    そのため、留置場に収容されている期間は、外部の産婦人科医が留置場へと呼ばれたり、必要に応じて産婦人科の病院やクリニックへと移送されて医療や検診を受けたりすることになるのです。
    とくに、破水や不正出血などのように緊急の対応が必要になる場合は、ただちに外部の病院・クリニックへと移送される体制が整っています

  2. (2)出産の際は外部での医療を受けられる

    留置場に収容されている間に出産する場合は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の第65条2項の規定にもとづき、以下のいずれかの処遇を受けることになります。

    • 勾留の執行が停止され、一時帰宅したうえでかかりつけ医など一般の病院・クリニックで出産する
    • 警察から嘱託を受けている警察医の病院・クリニックに移送されて出産する


    法律によって外部の病院・クリニックでの出産が保障されているため、留置場のなかでの出産を強いられるようなことはありません

    なお、以前は外部に出る際は拘束具の着装が義務付けられていたので、手錠をかけたまま出産に臨まなければならないという状況がありました。
    しかし、現在では出産中は拘束具を使用しない方針へと転換されています。

  3. (3)子どもの養育に必要な範囲で面会も配慮される

    妊娠中は、配偶者などと子どもの養育に関して相談しなければならない場面も多いでしょう。
    通常、留置されている人との面会については制限時間が設けられています。
    しかし、子どもの養育に関する用件のために必要な範囲であれば、面会時間の延長に応じてもらえる可能性があります。

    ただし、延長や時間外の面会は必ず認められるというわけではありません
    事前に留置担当官に事情を説明して相談しておくなど、認めてもらうための対応を尽くしましょう。

  4. (4)未成年の女子なら中絶後の移送もあり得る

    未成年の女子が妊娠したうえで逮捕された場合は、その後の手続きにおいて家庭裁判所が「医療少年院送致を受けて人工妊娠中絶の医療措置を施したうえで、少年院へと移送するのが適切」と勧告する可能性があります。

    もちろん、妊娠中の女子が必ず「中絶せよ」と命じられて中絶を強いられるわけではありません
    女子本人や父親にあたる男性の同意が必要であるため、意思に反している場合は中絶がおこなわれないというのが原則です。
    ただし、このような処遇勧告がなされる場合には、「本人たちの養育能力が低い」「胎児の生命や身体の成長・発達に重大な問題がある」といった事情があることが大半です。
    そのため、処遇勧告を受けると医療少年院へと送致されて人工妊娠中絶がおこなわれる、ということが一般的です。

2、勾留中に出産した場合の子育てはどうなる?

逮捕後に検察官が勾留を請求して、これが認められると、起訴・不起訴の決定までに最大20日間にわたる身柄拘束を受けます。
また、検察官が起訴に踏み切ると被告人として刑事裁判が終わるまで勾留されることになり、数か月は社会から隔離された生活が続くことになるのです。

妊娠中に逮捕されて、引き続き勾留・被告人勾留を受けると、月齢によっては身柄拘束中に出産する可能性が高くなります。
すると、「出産後の子育てはどうなるのか?」ということが不安になるでしょう。

身柄拘束中に出産し、本人が施設内での養育を希望した場合は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の第66条1項・2項の規定にもとづき、子どもが1歳に達するまで(とくに必要がある場合は1歳6か月まで)、施設内での養育が許可されることがあります。
授乳のための器具や紙おむつなどは貸与・支給されるため、子育てに必要な物品を自分でそろえる必要もありません。

ただし、この規定は申請すれば必ず認められるものではなく、施設の管理者が許可しない場合には子どもと引き離されてしまうことになります
施設内での養育が認められなかった場合は、子どもの父親、本人の父母・親類などに引き渡されるか、乳児院などに預けられるといった措置がとられることになるのです。

3、罪を犯しても必ず逮捕・勾留されるわけではない

妊娠中に罪を犯してしまった、あるいは罪を犯したあとで妊娠が発覚したといった方は、これから訪れるかもしれない逮捕や勾留による身柄拘束に、強い不安を抱くことになるでしょう。
法律によって施設外での出産や施設内での養育が認められているといえっても、万全の状態での出産や子育てができるわけではありません。

しかし、罪を犯しても、必ず逮捕・勾留されるわけではないのです
ニュースなどでは逮捕を伴う身柄事件の報道が多いですが、実際には、多くの事件が逮捕・勾留されないまま捜査が進む「在宅事件」として処理されています。

  1. (1)事件が発覚しても「在宅事件」になる可能性がある

    通常の逮捕が認められるのは、容疑者が逃亡・証拠隠滅を図るおそれがあり、裁判官が身柄拘束を認めたときに限られます。
    令和3年版の犯罪白書によると、令和2年中に全国の検察庁で処理された事件のうち、身柄事件が占める割合は34・8%でした。
    残るおよそ65%は、在宅事件なのです。

    在宅事件として処理されることになると、取り調べなどの必要がある都度、警察署や検察庁へと出頭して捜査を受けます
    身柄の自由は制限されないので、たとえ取り調べの途中でも、退出することが可能です。
    妊娠中でも在宅事件なら捜査の用件がない日に産婦人科の病院・クリニックに行けるほか、容体が悪くなれば取り調べの中止も認められます。

  2. (2)身柄拘束を避けるために必要な対策とは?

    逮捕による身柄拘束を避けるには、法律が求める逮捕の要件を否定しなければなりません。
    裁判官が逮捕を認めるのは「逃亡・証拠隠滅を図るおそれ」がある場合です。
    逆にいえば、「逃げたり、証拠隠滅を図ったりする危険はない」と証明できれば、逮捕されないということです

    また、早い段階で被害者に対して真摯(しんし)に謝罪したうえで弁済を尽くして許しを得られれば、事件そのものが「示談」によって解決し、逮捕を避ける可能性を高められます。

4、逮捕に不安を感じているなら早い段階で弁護士に相談を

妊娠中は心身ともにデリケートな時期です。
母体と子どもの健康を願うなら、精神的なストレスや身体への負担はできる限り軽減していかなければなりません。
逮捕に不安を感じている方は、できるだけ早い段階で弁護士に相談してください

  1. (1)逮捕の回避や早期釈放に向けた弁護活動が期待できる

    刑事事件を起こしてしまうと、法律に従って身柄拘束などの刑事手続きを受けることになります。
    妊婦に対しては一定の配慮があるものの、やはり、自由な環境で出産・子育てに臨むほうが母子ともにとって望ましいでしょう。

    弁護士に依頼すれば、逮捕の回避や逮捕後の早期釈放に向けた弁護活動が期待できます
    被害者との示談交渉による穏便な解決や捜査機関へのはたらきかけによる早期釈放が実現することで、不自由な環境で出産を強いられたり、出産直後に子どもと引き離されてしまったりする事態を回避することができます。

  2. (2)出産・子育てに向けた十分な配慮が期待できる

    事件化が回避できない場合は、逮捕による72時間以内の身柄拘束に加えて、さらに最大20日間の勾留、実質的に刑事裁判が終わるまで続くことがある起訴後勾留も覚悟しなくてはなりません。
    事件の内容によっては身柄拘束を避けられない事態も想定されますが、妊婦であることへの配慮が不十分である場合には、母体と子どもの健康が害されてしまうおそれがあります。

    容疑をかけられている本人に代わって、弁護士が捜査機関や拘置所・刑務所といった刑事施設に対して、妊婦であることや出産が迫っていることなどを主張し、十分な対応を求めます
    とくに、長時間にわたる取り調べや体調に配慮しない捜査を受けている状況であるなら、弁護士からの申し入れによって処遇が改善される可能性は高いでしょう。

5、まとめ

妊婦だからという理由で逮捕や刑罰が免除されるわけではありませんが、身柄拘束を受けていても、妊娠中の医療や出産・子育てに対する一定の配慮は約束されています。
とはいえ、母子の健康にとって大切な時期に不自由な生活を強いられるおそれはあります。
妊娠中に事件を起こしてしまったり、事件を起こしたあとで事件が発覚したりといった状況がある場合には、まずは逮捕や起訴の回避を目指しましょう。

逮捕や刑罰に不安を抱えている妊婦の方は、ベリーベスト法律事務所にご連絡ください
母子が健康であるために必要な対策を講じながら、事件の穏便な解決に向けてサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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