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子どもの連れ去りをしたとき問われる罪は? 刑事事件の流れも解説

2023年04月11日
  • その他
  • 子ども
  • 連れ去り
子どもの連れ去りをしたとき問われる罪は? 刑事事件の流れも解説

宮崎県がホームページで公開されている「みやざきの人口早わかり」によると、令和元年中の宮崎県における離婚件数は2040件で、人口1000人あたりの離婚率は1.92%でした。全国平均の1.69%を上回っており、例年のように全国上位の離婚率を記録しているため、さまざまなメディアで「離婚率の高い県」として紹介されているのです。

離婚にはさまざまな問題がつきまといますが、中でも深刻なのが、「子ども」に関する問題です。令和3年8月には、福岡県内で、離婚係争中の妻と暮らす4歳の長男を無断で連れ去ったとして会社員の男性に有罪判決が言い渡されています。「自分の子どもを連れ去って有罪となった」という事例に、驚かれる方もいるでしょう。

本コラムでは、「子どもの連れ去り」に関して、問われる罪や刑罰、逮捕された場合の流れなどを、ベリーベスト法律事務所 宮崎オフィスの弁護士が解説します。

1、自分の子どもでも「連れ去り」は犯罪になるのか?

冒頭で紹介した事例のように、子どもに対する「連れ去り」は、たとえ自分の実の子どもであっても罪に問われることがあります。
以下では、どのような状況で子どもを連れ去ると犯罪になってしまうのかについて、解説します。

  1. (1)実の親子でも罪に問われるケース

    実の親子であっても、その親が子どもを実際に監護していない場合には、連れ去りは法的な問題となり得ます
    冒頭で紹介した福岡県の事例のほかにも、過去の判例には、実の親による連れ去りが法的に問題となったケースが存在します。

    ● 共同親権者である父親が2歳の子どもを連れ去ったケース
    離婚に向けて別居中だった夫婦のうち、妻が養育している2歳の長男を夫が連れ去った事例です。
    祖母が自転車に乗せようとしたすきをついて夫が長男を抱きかかえて連れ去ったのち、車で逃走しましたが、同日中に警察官に発見・逮捕されました。
    裁判所は、長男の監護養育上そのような行為に特段の事情もなく、たとえ親権者によるものでも正当とはいえないと判断し未成年者略取罪の成立を認めました。
    【最二決平成17年12月6日刑集第59巻10号1901頁】
  2. (2)子ども本人が同意していても犯罪になる

    子ども本人に同意があった場合には、どう判断されるのでしょうか?
    この点については、以下のような事例が参考になります。

    ● 交際中の女子生徒を連れ去ったケース
    令和3年10月、交際中だった中学3年の女子生徒を親に無断で連れ去った容疑で、43歳の男が逮捕された事例です。
    男は、女子生徒の親から交際を認められなかったため「一緒にどこかへ逃げよう」と誘って連れ去り、6日間にわたって連れ回していました。
    女子生徒の親が警察に相談して行方不明届を提出し、全国に指名手配されて逮捕に至ったとのことです。

    ● 家出願望をもつ少女を誘い出して連れ去ったケース
    令和元年10月、SNSで家出の願望を書き込んだ女子中学生に対して「相談に乗るよ」と返信して誘い出し、約40日にわたって自身が管理している借家に住まわせていた男が逮捕された事例です。
    この事例でも、少女の親が「娘が帰宅しない」と警察に通報して事件が発覚し、防犯カメラやSNSの精査から容疑者が特定されて逮捕に至りました。


    「交際中だった」「本人が家出したいと希望した」など、たとえ連れ去りを受ける子ども本人の同意があったとしても、親の同意なく連れ去れば逮捕されて罪を問われることになります
    これは、未成年者略取誘拐罪が「子ども自身の自由」を守るとともに、保護者がもつ「子どもを監護・養育する権利」も保護の対象としているためです。

2、未成年者略取誘拐罪とは? 成立要件や刑罰

子どもの連れ去りは「未成年者略取誘拐罪」によって厳しく罰せられます。
以下では、未成年者略取誘拐罪の成立要件や刑罰を解説します。

  1. (1)未成年者略取誘拐罪とは

    未成年者略取誘拐罪は、刑法第224条に規定されている犯罪です。
    連れ去りの手段によって、「未成年者略取罪」と「未成年者誘拐罪」に区別されます。

  2. (2)未成年者略取誘拐罪の成立要件

    未成年者略取誘拐罪は、次の要件を満たした場合に成立します

    • 「未成年者」に対する行為であること
    • 「略取」または「誘拐」を手段とすること


    「未成年者」とは、改正民法の定めに従い18歳未満の者を指します。

    「略取」とは暴行・脅迫を用い、相手の意思に反して従前の生活環境から離脱させ、自己または第三者の支配下に置くことをいいます。
    具体的には、腕を引っ張って強引に連れ去る、「騒ぐと痛い目にあうぞ」と脅す、自力では歩けない乳児を抱きかかえて連れ去るなどの行為が、「略取」に該当します。

    「誘拐」とは、虚偽の事実を伝えるなどして相手を錯誤に陥れて、誘惑や甘言によって判断を誤らせたうえで、自己または第三者の支配下に置くことです。
    「お母さんに頼まれたから連れていってあげるよ」とだます、「楽しいところに行こう」と誘惑するといったケースが、「誘拐」にあたります。

    先ほど挙げた事例に照らすと、別居中の妻が養育している2歳の子どもを抱きかかえて連れ去ったケースは「未成年者略取罪」となります。
    一方で、交際中の少女や家出願望のある少女を誘い出したケースでは、「未成年者誘拐罪」が適用されるのです。

  3. (3)未成年者略取誘拐罪の刑罰

    未成年者略取誘拐罪の法定刑は「3カ月以上7年以下の懲役」です。
    罰金刑は定められていません。
    なお、刑法第25条1項の規定により、3年を超える懲役には執行猶予がつきません。

    悪質だと判断されれば執行猶予とならずに実刑判決が言い渡される危険性は高いため、早い段階から弁護士に相談して、厳しい刑罰を避けるための弁護活動を依頼しましょう。

3、子どもの連れ去り容疑で逮捕されたあとの流れ

子どもの連れ去りで未成年者略取誘拐罪の容疑をかけられて、逮捕された後の流れについて解説します。

  1. (1)逮捕・勾留による身柄拘束

    警察に逮捕されると、警察段階で48時間以内の身柄拘束を受けたうえで検察官のもとへと送致され、さらに検察官の段階で24時間以内の身柄拘束を受けます
    自宅へ帰ることも、会社に行くことも許されず、自由な連絡も認められません。

    さらに、検察官が「身柄拘束を続ける必要がある」と判断して、裁判官がこれを許可した場合には、「勾留」による身柄拘束が始まります。
    勾留を受けると、原則10日間身柄拘束をされることになります。これに続いて、勾留延長が認められた場合には、さらに10日間の身体拘束が認められ、合計して20日間勾留されることになるのです。

  2. (2)起訴・不起訴の判断

    勾留が継続している間も、取り調べやほかの捜査が進みます。
    そして、勾留が満期を迎える日までに検察官が「起訴」または「不起訴」の判断を下します。

    検察官が起訴すれば、刑事裁判へと移行します。
    勾留されていた被疑者は被告人として、さらに勾留が継続されます。

    不起訴となった場合には、刑事裁判が開かれません
    勾留を続ける理由もなくなるので、直ちに身柄が釈放されることになるのです。

  3. (3)刑事裁判

    刑事裁判では、検察官・弁護士がそれぞれ提出した証拠を裁判官が審理します。
    必要に応じて証人への尋問などもおこなわれたのち、最終回では判決が言い渡されます。

    有罪となった場合には法定刑の範囲内で量刑が言い渡されて、実刑となれば刑務所へと収監されてしまいます

4、直ちに弁護士に相談すべき理由

子どもの連れ去り容疑をかけられてしまうと、たとえ自分の実の子どもであっても、逮捕されて、刑罰を受けるおそれがあります。
逮捕されてしまったら、直ちに弁護士に相談してください

  1. (1)取り調べに際してのアドバイスを得られる

    未成年者略取誘拐罪の容疑をかけられると、警察や検察官による取り調べを受けることになります。
    「本人が略取・誘拐を認めるのか」「罪となる認識があったのか」といった点ついて確認を取られるため、その場でどのように答えるかは、非常に重要です。

    不利な展開になることを避けるために、取り調べでどのように答えるのが適切なのか、弁護士からアドバイスを受けましょう

  2. (2)不起訴処分を目指すサポートが得られる

    罪を犯したからといって、必ず刑罰を受けるとは限りません。
    どんなに厳しい刑罰が設けられている犯罪でも、刑事裁判における有罪判決を経ない限り、処罰されることはないのです。

    とはいえ、わが国の刑事司法制度では検察官が起訴した事件のほとんどに有罪判決が下されます。
    つまり、厳しい刑罰を回避するには「刑事裁判に発展しないこと」が重要になります。

    検察官が不起訴と判断すれば、刑事裁判は開かれません。
    弁護士に依頼して、被疑者にとって有利となる証拠を検察官に示してもらうなどして、不起訴となるようにはたらきかけてもらいましょう

  3. (3)無罪の主張をサポートしてくれる

    刑事裁判においては、無罪を期待できる可能性が極めて低いという実情があります。
    しかし、実際に罪を犯したわけではないなら、裁判においても無罪を主張するべきです。

    とはいえ、無罪を証明する証拠を集めて主張するのは簡単なことではないため、弁護士のサポートが必須になります。
    特に、離婚係争中など複雑な事情を背景としているケースでは、無罪を主張したいと考える方も少なくないはずです。直ちに弁護士に相談して、サポートを求めましょう

5、まとめ

子どもを連れ去る行為は、他人の子どもであればもちろん、実の自分の子どもであっても犯罪になり得ます。
未成年者略取誘拐罪に問われた場合には、逮捕・勾留による身柄拘束や厳しい刑罰を避けるために、弁護士のサポートが必須となります。

厳しい刑罰の回避を目指すなら、刑事事件の解決実績が豊富なベリーベスト法律事務所にご相談ください
取り調べに対するアドバイスや捜査機関へのはたらきかけなど、無用に厳しい処分を避けるために全力でサポートします。
宮崎県にご在住の方は、ベリーベスト法律事務所 宮崎オフィスにまでご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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