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葬祭扶助とは? 生活保護受給者が葬儀代を払えない場合の解決策

2021年08月30日
  • その他
  • 葬祭扶助
葬祭扶助とは? 生活保護受給者が葬儀代を払えない場合の解決策

宮崎市のホームページでは、親族などが亡くなったときの手続きについて紹介されています。国民健康保険などに加入していた場合は葬祭費を受け取れることが案内されていますが、生活保護を受給している状況で近親者が亡くなった場合、そもそも葬儀費用を捻出することは困難なケースが多いのではないでしょうか。その場合に利用できるのが、生活保護制度の一環である「葬祭扶助」です。

本コラムでは、生活保護受給者などが葬儀費用を支払えない場合に受給できる「葬祭扶助」について、ベリーベスト法律事務所 宮崎オフィスの弁護士が解説します。

1、葬祭扶助とは?

生活が困窮していて、近親者などの葬儀費用を捻出するのが難しければ、生活保護制度の一環である「葬祭扶助」の受給を検討しましょう。

  1. (1)生活困窮者などが葬儀費用の補助を受けられる制度

    「葬祭扶助」とは、生活困窮者などが葬儀費用の支出を要する際に、最低限の費用について補助を受けられる制度です

    たとえば、亡くなった方の唯一の近親者が生活保護を受給している場合には、まとまった葬儀費用を支出できる方がいない可能性が高いと考えられます。しかし、最低限遺体を火葬したうえで遺骨を埋葬するなどの適切な処置を行わなければ、死者の尊厳が保たれません。

    また、遺体の処理を迅速かつ適切に行うことは、死者の尊厳の面のみならず、公衆衛生の観点からも極めて重要性・緊急性が高い事柄といえます。そこで、生活が困窮しているなどの理由によって、葬儀費用を準備できない人に対し、公的扶助として葬儀費用を支出することが定められたのです。

  2. (2)葬祭扶助は生活保護制度の一環

    葬祭扶助は、生活保護制度における給付の一種として、生活保護法によって規定されています(生活保護法第11条第1項第8号)。

    生活保護の給付としては、生活費を支給する「生活扶助」や、家賃を支給する「住宅扶助」などがよく知られています。

    しかし、生活保護の給付はこれだけではなく、以下の8種類が認められています。

    1. ① 生活扶助
    2. ② 教育扶助
    3. ③ 住宅扶助
    4. ④ 医療扶助
    5. ⑤ 介護扶助
    6. ⑥ 出産扶助
    7. ⑦ 生業扶助
    8. ⑧ 葬祭扶助


    これらの給付は、複数同時に受給することもできますし(併給)、ひとつだけを受給することもできます(単給)(同条第2項)。

    したがって、これまで生活保護を受けていた人はもちろんのこと、生活保護受給者でない人でも、葬祭扶助を受給できる可能性があるのです。

2、葬祭扶助を申請できる人は?

葬祭扶助は、生活保護法第18条第1項および第2項において定められています。
具体的には、以下のいずれかに該当する人が、葬祭扶助を申請・受給できます。

  1. (1)困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者

    「困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者」は、葬祭扶助を受給できます(生活保護法第18条第1項)。

    この要件は、葬祭扶助を含めた8種類の生活保護給付について、共通して設定されています。したがって、すでに生活扶助や住宅扶助などの生活保護を受給している人であれば、葬祭扶助を受けられる可能性が高いでしょう。

    なお、葬祭扶助を含む生活保護の受給可否については、福祉事務所の「ケースワーカー」が中心となって審査を行います。

    ケースワーカーとは、生活保護受給者の支援を行う担当者で、受給者からの生活に関する相談等を受け付けています。生活保護の申請を行う際には、担当のケースワーカーからの質問に回答したり、各種の書類を提出したりする必要があります。

    葬祭扶助を受けられるかどうかは、ケースワーカーの裁量が影響する部分も大きいので、ケースワーカーに対しては誠実な態度で接しましょう

  2. (2)扶養義務者がない生活保護者などに対して葬祭を行う者

    生活困窮者が葬儀費用を支出する場合のほか、以下の場合についても、葬祭を行う者に対して葬祭扶助の支給が認められています(生活保護法第18条第2項)。

    • 生活保護受給者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき
    • 死者に対し葬祭を行う扶養義務者がない場合において、死者が遺留した金品で、葬祭を行うのに必要な費用を賄えないとき


    生活保護受給者などの生活困窮者は、そもそも身寄りがないケースがありますその場合、善意で生活困窮者の葬祭を行う人が現れるのであれば、その人に対して葬祭扶助を行うことが、社会福祉の観点から合理的であるという価値判断が存在すると考えられます

    主に想定される葬祭実施者としては、民生委員や入居先の介護施設などがあります。

3、葬祭扶助の申請方法・給付方法について

葬祭扶助を申請する場合、申請方法・給付方法などの詳細については、まず自治体の窓口や福祉事務所に相談してください。
以下では、葬祭扶助の申請方法・給付方法について、概要を簡単に解説します。

  1. (1)市区町村役場・福祉事務所に申請を行う

    葬祭扶助の申請先は、以下の市区町村役場または福祉事務所になります。

    1. ① 申請者が扶養義務者の場合
      申請者の住所地の市区町村役場または福祉事務所
    2. ② それ以外の場合
      亡くなった方の最後の住所地の市区町村役場または福祉事務所


    市区町村役場・福祉事務所の窓口では、葬祭扶助だけでなく、その他の生活保護の申請方法についてもアドバイスを受けられます

    生活に困窮している方は、一度窓口を訪ねてみるとよいでしょう。

  2. (2)福祉事務所から葬儀会社に直接葬儀費用が支払われる

    葬祭扶助が認められた場合、福祉事務所から葬儀会社(葬儀社)に対して、直接葬儀費用の実費相当額が支払われます。つまり、葬祭扶助受給者は葬儀費用に対して、費用の精算を行う必要はありません。

    ただし、後述する葬祭扶助の上限を超える葬儀費用が発生した場合には、不足分を負担することになるので注意が必要です。

4、葬祭扶助を受けて葬儀を行う場合の注意点

葬祭扶助を申請・受給する場合、申請を行うタイミングや、葬祭扶助の範囲・金額に注意する必要があります。

無計画に葬儀の段取りを進めると、葬祭扶助が受給できなかったり、葬儀費用が葬祭扶助の上限金額を超過したりしてしまう可能性があります。事前に慎重な検討を行いましょう。

  1. (1)葬儀を実施する前に申請を行う必要がある点に注意

    葬祭扶助の受給申請は、実際に葬儀を実施する前に行う必要があります。

    もし先に葬儀を実施してしまい、その後で葬祭扶助を申請したとしても、申請が認められることはないので気を付けましょう

  2. (2)葬祭扶助によって補助される葬儀の内容

    葬祭扶助による補助の対象とされているのは、葬儀のうち以下の内容に限られます(生活保護法第18条第1項)。

    • 検案
    • 死体の運搬
    • 火葬または埋葬
    • 納骨その他葬祭のために必要なもの


    葬祭扶助は、生活困窮者などに対して、最低限葬儀の体裁を整えるために支給されるものです。そのため、ごく簡単な葬儀のみが認められると考えておきましょう。

    なお、「納骨その他葬祭のために必要なもの」として、以下のものが認められることがあります。

    • 棺用の布団
    • 仏衣
    • 枕飾り
    • 枕花
    • ドライアイス
    • 骨壺
    • 白木位牌
    など
  3. (3)葬祭扶助の金額は?

    葬祭扶助の金額には、自治体によって上限が設けられています。亡くなった方の年齢などによっても変わりますが、上限はおおむね16万円~20万円程度です。

    なお、前述の通り支給される葬祭扶助のお金は申請者に支払われるわけではありません。基本的にかかった費用の分を葬儀会社に対して直接支払われることになります。また、この上限を超える葬儀費用を支出した場合には、葬祭実施者が葬儀会社から差額分を請求される点に注意が必要です。

    葬祭扶助の範囲内で葬儀を行いたい場合は、その旨を葬儀会社に伝えておけば、予算を前提としたアレンジをしてくれるでしょう。

5、まとめ

生活が困窮している方であっても、亡くなった近親者を弔うためには、葬儀を行いたいと考えるのが通常でしょう。葬祭扶助を申請・受給することで、この思いがかなえられることもあります。

市区町村役場や福祉事務所に相談すれば、葬祭扶助申請のほかにも、生活扶助や住宅扶助などの受給申請についてもアドバイスを受けられます。生活が困窮している方にとっては、生活状況を改善するために有益なアドバイスが多いと思いますので、一度窓口で相談してみるとよいでしょう。

また、亡くなった近親者の遺産相続問題が起きてしまいそうなときは、弁護士に相談することをおすすめします。ベリーベスト法律事務所では、遺産相続の知見が豊富な弁護士が適切な手続きについてのアドバイスが可能です。まずはお気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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